ユーロライブ

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2021年の主催・協力公演

2021年6月25日(金)~6月29日(火)

第3回浪曲映画祭─情念の美学2021

映画16作品、浪曲11口演、活弁付き上映1回 ⦿5月8日㈯13時より販売開始!

映画ミーツ浪曲=「浪曲映画」の再発見
1929年映画は無声からトーキーになったことで、演出の大転換を迫られる。
多くの時代劇は人形浄瑠璃や歌舞伎のように、義太夫が節と語りで物語を回す日本の伝統的な演劇形式を踏襲、義太夫に代わる役割を浪曲や琵琶語りに託した映画─浪曲トーキー、琵琶トーキーなるものが登場する。
 1928年のラジオの全国放送化、SPレコードの本格普及で大ブレイクした、寿々木米若の浪曲「佐渡情話」に目を付けた日活が、浪曲「佐渡情話」(1934年)を映画化して大成功を収める。
それを契機に各社は、あたかも今日の映画界がベストセラー小説やマンガを映画化するように、浪曲口演付きや、浪曲・講談演目を脚本とした映画を次々と製作、山中貞雄、成瀬巳喜男、中川信夫、森一生、斎藤寅次郎、三隅研次、加藤泰らも含め、マキノ雅弘の『次郎長三国志』を頂点として、その傾向は浪曲人気が衰える一九五〇年代まで続いた。

 浪曲は大衆芸能の王者として終戦後まで君臨するが、浪曲の物語に通底する義理人情、通俗的で情緒的な価値観は、近代的自我を目指した知識人、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風らに忌み嫌われ、文芸の世界では「浪花節」という言葉が否定的なレッテルとして最近まで頻繁に使われていた。
しかし従軍画家を務めたことで戦争協力を問い詰められ、フランスから終生帰国することのなかった藤田嗣治が、テープレコーダーに声で残した遺言のなかで、しばしば浪曲の節に乗せて語るほどに、浪曲は日本人に浸み込んでいた。
 ラジオによって隆盛を極めた浪曲人気はTVの登場で急速に衰退する。だが浪曲師・国友忠が「二葉百合子、三波春夫、村田英雄という人たちは、浪曲の自在性を生かし、それぞれ見事に独自の節調を作り上げて成功した、現代の浪曲家だ」と書いているように、浪曲は変容しつつも日本人のDNAを受け継いできた。
 この特集企画は、いわば私たちのDNAを探り当てる旅でもある。

出演者:(プロフィール、演目・映画解説は右のチラシを参照)
浪曲師=三笠優子、玉川奈々福、東家孝太郎、玉川太福、富士綾那、天中軒すみれ、国本はる乃、木村勝千代、港家小そめ(登場順)
曲師=伊丹秀敏、沢村豊子、玉川鈴、沢村美舟、玉川みね子(同)
活弁士=坂本頼光+伴奏=沢村美舟(三味線) 
トークゲスト=山根貞男(映画評論家)、入江悠(映画監督)

チケット、5月8日㈯13時より販売開始!!
*新型コロナウイルス感染対策として、当面定員の50%で予約販売いたしますが、状況の大きな改善があれば、東京都と協議の上、追加販売の可能性もあります。

「浪曲映画─情念の美学2021」会場=ユーロライブ
主催:ユーロスペース 企画:ユーロスペース+シネマ5企画監修:玉川奈々福 
映画提供:国立映画アーカイブ 東映KADOKAWA 松竹 東宝 京都おもちゃ映画ミュージアム SPOTTED PRODUCTIONS 協力:国立映画アーカイブ
■ローカルツアーは今年も企画中

◎料金=1)映画+浪曲/活弁士付き上映 一般 2400円 学生‣会員 2000円 高校生 1200円
    2)映画のみ          一般 1400円 学生‣会員 1200円 高校生 800円
回数券 10000円(劇場窓口のみで販売/1)を2000円で、2)を1000円でご覧になれます。)


6月25日(金) 浪曲師伝説─現在の型を作った桃中軒雲右衛門
12:40 開映 「カポネ大いに泣く」監督:鈴木清順 主演:萩原健一、沢田研二、田中裕子
15:20 開映 「桃中軒雲右衛門」監督:成瀬巳喜男 原作:真山青果 主演:月形龍之介  〽三笠優子「晴れ晴れ雲」曲師:伊丹秀敏
17:30 開始  対談「桃中軒雲右衛門って?」玉川奈々福 聞き手:田井肇
18:20開映 「雲右衛門とその妻」監督:安田公義 主演:三波春夫、月丘夢路    〽玉川奈々福「浪花節更紗」曲師:沢村豊子
6月26日(土) 浪曲師・村田英雄─東映時代劇を任侠路線に変えた男
11:00 開映 「人生劇場 飛車角」監督:沢島忠 主演:鶴田浩二、高倉健 村田英雄   〽東家孝太郎「長兵衛嫁取り」曲師:伊丹秀敏
13:40 開映 「日本侠客伝 雷門の決斗」監督:マキノ雅弘 主演:高倉健 藤純子 村田英雄
15:30 開始  解説:山根貞男「村田英雄と東映任侠映画」
16:20 開映 「男の勝負─仁王の刺青」監督:鈴木則文 主演:村田英雄、天知茂 藤純子  〽玉川太福「天保⽔滸伝 笹川の花会」曲師:玉川鈴
18:50 開映 弁士:坂本頼光「出來ごころ」監督:小津安二郎 主演:坂本武     「国定忠治」監督:牧野省三、主演:澤田正二郎
6月27日(日) 浪曲の未来─江戸の若き俊才たち
11:30 開映 「野田版 研辰の討たれ」主演:18代中村勘三郎、中村扇雀、松本幸四郎 〽玉川奈々福「研辰の討たれ」
14:20 開映 「SR サイタマノラッパー2 」監督:入江悠 主演:山田真歩        〽富士綾那「相寄る心」曲師:沢村豊子 〽天中軒すみれ「伊東の恋の物語」曲師:沢村美舟
17:10 開始 鼎談「関東若手浪曲師集合!」 司会:入江悠
18:10 開映 「骨までしゃぶる」監督:加藤泰 主演:桜町弘子、久保菜穂子、夏八木勲  〽 国本はる乃「紺屋高尾」曲師:沢村美舟
6月28日(月) 浪曲演目録─ご存知「清水次郎長伝」
12:00 開映「次郎長三国志第八部 海道一の暴れん坊」監督:マキノ雅弘 主演:森繁久彌、志村喬、小堀昭男
14:10 開映「虎造の荒神山」監督:青柳信雄 主演:広沢虎造、黒川彌太郎     〽木村勝千代「お民の度胸」曲師:沢村美舟
16:20 「清水港は鬼より怖い」監督:加藤泰 主演:大泉滉、沢村国太郎、広沢虎造
18:15 開映「サラリーマン清水港」監督:松林宗恵 主演:森繁久彌、加東大介 〽玉川太福「清⽔次郎⻑伝 ⽯松の最期」曲師:玉川みね子
6月29日(火) 浪曲の現在─浪曲師・曲師のドキュメンタリー
13:20 開映 「カポネ大いに泣く」監督:鈴木清順 主演:萩原健一、沢田研二、田中裕子
16:00 開映 「人生劇場 飛車角」監督:沢島忠 主演:鶴田浩二、高倉健、村田英雄
18:00 開映 「港家小柳IN-TUNE」監督:川上アチカ 主演:港家小柳           映像+トークライブ「絶唱浪曲ストーリー」                    〽港家小そめ「宮様と自電車」曲師:沢村豊子
  • 三笠優子 みかさ・ゆうこ
    愛媛県出身。幼少の頃より浪曲に親しみ、15才の時、松平国十郎の内弟子となるが3年で浪曲から離れ博多に移り、クラブで歌い、その後RCAより「洞海湾の竜」でデビュー。「夫婦舟」がミリオン・セラーとなり、歌謡歴代ロングセラー5位となる。数年前より浪曲界に復帰、大会などに出演している。
  • 玉川奈々福 たまがわ・ななふく
    神奈川県横浜市出身。1995年二代目玉川福太郎に曲師(浪曲三味線)として入門。2001年より浪曲師としても活動。2006年奈々福で名披露目。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作や長編浪曲も手掛け、他ジャンルとの交流も多岐にわたって行う。(一社)日本浪曲協会理事。2018年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジア七か国で公演を行った。第11回伊丹十三賞受賞。
  • 東家孝太郎 あずまや・こうたろう
    トゥバ共和国の倍音唱法「ホーメイ」や口琴などを用いた民俗音楽家としての活動を経た後、ホーメイと発声の酷似している浪曲に魅せられ、二代東家浦太郎の浪曲教室に通う。2011年正式に東家浦太郎一門に弟子入り。2015年年季明け。浪曲の魅力は倍音にあり、との信条から「浅草倍音フェス!」などを企画する。
  • 玉川太福 たまがわ・だいふく
    新潟県新潟市出身。2007年、二代目玉川福太郎に入門して太福を名乗る。同年11月、浅草木馬亭にて初舞台。2013年、浅草木馬亭にて名披露目。2015年 第一回渋谷らくご創作大賞、2017年 第72回文化庁芸術祭 大衆芸能部門 新人賞受賞。年間50公演を超える独演会を開催し、浪曲定席木馬亭をはじめ、落語の定席にも出演。古典の名作を継承する一方、さまざまな自作新作も手掛ける。
  • 木村勝千代 きむら・かつちよ
    11歳で初舞台。親の勧めで聴いた二葉百合子の歌謡浪曲「岸壁の母」に号泣。周囲の勧めで、関東節の最長老、木村松太郎に入門。師匠譲りの「芝浜の革財布」「慶安太平記」の他、自作の新作では「まっ黒なおべんとう」で「原爆伝える浪曲師」と取り上げられる。四半世紀を経て、再び浪曲の舞台へ復帰八年目。現在、唯一の木村派。
  • 活動写真弁士・坂本頼光 さかもと・らいこう
    1979年東京生まれ。中学2年頃より映画熱にとりつかれ、活動写真弁士を志す。2000年『鞍馬天狗』前篇の説明でデビュー。以降、時代劇作品を中心に全国各地で活弁ライブを行い、現在までの説明作品は約120本。2010年にエール大ほか、米国5大学の公演に参加。アニメの声優やCMナレーションなどもこなす。2018年国立演芸場花形演芸大賞受賞。
  • ⦿浪曲師
    富士綾那 ふじ・あやな
    五代目東家三楽門下。2013年入門。勉強会を最低でも年に一度はやらねばと思っている。椎橋綾那(本名)として役者の活動も行う。最近の出演はチェルフィッチュ、宮部純子(五反田団)とのユニット・シガール姉妹など。オフィススリーアイズ所属。

    天中軒すみれ てんちゅうけん・すみれ
    茅ヶ崎市出身。東京藝術大学音楽学部楽理科卒。在学中、邦楽や民俗芸能の世界に魅了される。はじめて生の浪曲を聴いた時「日本にはこんなにも熱い語り物があったのか」と感動、浪曲師の道を志すことを決意。2018年4月2日、五代目天中軒雲月に入門。同年12月5日、浅草木馬亭にて初舞台。

    国本はる乃 くにもと・はるの
    「お前はピアノって顔より三味線って顔だな」筑波市にいる父の友人の言葉がきっかけとなり九才で浪曲と出会う。太棹の三味線が掴めずまずお歌から、と騙され台本を貰い半年で成田山新勝寺奉納演芸会で初舞台。高校を卒業と同時に浪曲協会の門を叩き正式にプロとして活動開始。

    港家小そめ みなとや・こそめ
    埼玉県さいたま市岩槻区出身。2013年7月、たまたま入った浅草木馬亭浪曲定席で初めて師匠・五代目港家小柳の浪曲を聴き、衝撃を受け同年9月入門。2014年9月初舞台。2019年6月浅草木馬亭にて名披露目。
  • ⦿曲師
    沢村豊子 さわむら・とよこ
    大牟田市出身。1948年、11歳で佃雪舟に三味線の筋のよさを見込まれ浪曲界入り。山本艶子に師事、佃雪舟の曲師として全国を巡業。17歳で国友忠の「浪曲教室」に参加。以来国友忠の相三味線となり、主に放送浪曲で活躍。三波春夫、村田英雄などの曲師も務めたレジェンド。第42回松尾芸能賞功労賞受賞.

    伊丹秀敏(曲師) いたみ・ひでとし 
    1935年佐賀県杵島郡生まれ、86才。浪曲師/曲師。1945年に伊丹秀子(二代目天中軒雲月)にあこがれて入門。初舞台は8歳の頃に九州八幡の黒崎劇場で。「美しい声と誰もが聞き惚れてしまう巧みな節遣いの名人であり、おそらく曲師史上一番沢山の浪曲師を弾いて来た名人」(「祝85歳 伊丹秀敏記念公演」ちらし)。2018年下町人間庶民文化賞受賞。

    玉川みね子 たまがわ・みねこ
    酒田市出身。二代目玉川福太郎との結婚を機に、1976年に山本太一に入門。1978年木馬亭で初舞台。以後は福太郎の弟子・玉川太福をはじめ多くの演者と共演、TV・ラジオにも出演している。

    沢村美舟 さわむら・みふね
    1989年生れ、千葉県は佐倉市出身。義太夫から三味線に興味を持ち、木馬亭に通ううち浪花節に魅せられる。2015年に日本浪曲協会主催の三味線教室に通い、同年6月曲師沢村豊子に入門。翌年4月木馬亭にて初舞台。

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