渋谷コントセンター

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2019年12月20日(金)~12月21日(土)

テアトロコント vol.41 渋谷コントセンター月例公演(2019.12)

主催公演

公演詳細

テアトロコントvol.41(12/20)の演目
【うるとらブギーズ】就職面接を受けにきた人が何か特技を披露するように言われて、その場でひとりラップバトルを始めたものの、過激なディスりで面接官を怒らせてしまう『面接』と、やくざ2人がロシアンルーレットで抗争の決着を図ろうとするが、一方のやくざの言動が恐怖と緊張から次第にオネエ化していく『抗争』の2本がとくに面白かった。状況はどんどんエスカレートしていくのに、八木崇の表情が人を食ったようなポーカーフェイスのままほとんど変わらないところが面白すぎた。
【ダダルズ】『となりのやる気』。これからリコーダーの演奏を披露しようとしているおじさんがいる。そこへ1人の女性が通りかかり足を止める。おじさんの知り合いなのか、演奏に興味がある赤の他人なのか、みているだけではよくわからない。しかしこの時点からすでに2人は、なんらかの応酬を始めている。観終わって、なるほどこれは30分のライブという形式にふさわしいコントだと思った。せりふが少なく視覚的な情報もほとんど与えられないので、もし映像でみたら、意味がわからず(自分には向いていないと早合点して)途中でみるのを止めてしまいそうに思えたからだ。最後に女性が、この拍手は何もあなたの演奏が良くてしているわけではない、といったせりふを言ったとき、それまでのなぞがいっぺんに氷解した気がした。ある言葉や態度について、私たちは、他人が自分と同じ意味や意図でそれを使っているものと考えがちだが、それは思い込みにすぎない。このコントは、そうした思い込みをしている者同士が遭遇したときの、相手に対する無理解や無関心、それでも強引にやりとりを進めようとしてしまう身勝手さや滑稽さを、ある意味ありふれた日常の風景を、繰返し描いていたのではないか、と、それまでのやりとりを脳内で頭から再生しながら思った。私たちが日々刹那的に感じ取ってはやり過ごしているコミュニケーション以前の現象のようなものを、虫メガネで拡大するようにこれでもかと描いていたのではないかと、自分は解釈した。このコントを観たことで、そうした現象が起きている瞬間を、自分が日々確かに認識していることを再認識できた。
【THE ROB CARLTON】トリオ漫才と歌唱とを自在に行き来する『レ・カルテットトリオ』が圧巻だった。正直、こんな本格的な歌声をテアトロコントで聴けるとは思わなかった。力強い声と美しいハーモニーはそれだけでわくわくする。「劇団四季を目指していましたがお笑いに転向しました」みたいな経歴の方たちなのかなと勝手に想像したが、そうではなく、歌はこのネタのために練習したとのことで、それを聞いてさらに驚いた。観客を楽しませよう、笑わせようという雰囲気が舞台から終始伝わってきて、まさにエンターテイメントだった。3人の体格や外見のコントラストも見た目に楽しい。
【日本エレキテル連合】一世を風靡したネタを持つコンビだけあって強い。段違いに面白かった。なぜこんなに面白いのか。作りこまれた設定や見せないことで見せる工夫など、理由はいくつか思い浮かぶけれども、根本に2人の芝居のうまさがあるように思った。このうまさには、張りのあるよく通る声や対象を忠実に(≒特徴をつかんで誇張的に)再現できるものまねのうまさも含まれる。中野聡子は、対象をそっくり自分に憑依させて易々とその人になりきってしまう(ようにみえる)。自前の目を別人のごとく小さくしてキャラクターを演じている姿をみて、なんとなくピーター・セラーズを思い出した。テレビやネットで披露されているネタをみると、橋本小雪もものまねがうまい。この「2人ともものまねがうまいこと」が、日本エレキテル連合の強さの要因に挙げられるのではないかと思った。そしてその能力は、今回のネタに登場した、タレント気取りで動画を配信する一般人(VTR『うさまるちょびー』)や、舌足らずな声でしゃべるロリータファッションの女の子(『neoかわいそう』)のような、面白くて極端な、どこかで見たことのある人々をキャッチして再現するときに遺憾なく発揮されているように思った。また『neoかわいそう』で橋本は、年若い女の子に「かわいそう」と繰り返し言ってもらい、いわば言葉責めのようなことをしてもらって倒錯的に身悶えしてはよろこぶ無職のおじさんを演じる。ファンシーな戯画化でどぎつさを中和しているけれども、注がれているまなざしはかなり辛辣である。こうした入り組んだ表現を(少なくとも表面上は)難なくやってしまえるところも、このコンビの強さの要因かと思った。ステルス的にふりまかれる悪意にときにたじろぎつつも、人の欲を描くときの視点には確かさと鋭さが感じられて、その面白さに抗うことができなかった。(大熊)

お手持ちのチケットを今一度ご確認下さい
わたしたち=「批評モニター」と呼ばれるが書いたことは、実はこの紙(じゃなくてHP(「渋谷コントセンター by Euro Live」の上の方の「批評・レビュー」内)で読んでいただいている場合には無いんですが(代わりに過去の「わたしたちが書いたことは、実は文字になってい」ます。ありがたい!))(この紙)のどこか(下?裏?)にも多分書かれている「批評モニター募集!CCC主催公演の批評を書いてくれる方を数名募集します。掲載は渋谷コントセンターのHPほか。特典:執筆対象の公演の招待券、掲載の場合はユーロスペースの映画招待券2枚。」の条件で書かれているなので「特典:執筆対象の公演の招待券」があるなので見る公演のお金はこういった「批評モニターによるレビュー」をもって代金に替えさせていただいていてそれが毎回続きだんだん料金感覚が自分に抜けてる感最近あったから今回無理言(わず勝手に)ってお金を払って見させていただきました(どうせだったら「料 金:当日券=大人2,500円」で!と思ったけど受付で不思議な迷惑をかけてしまう可能性あるので代わりに)「料 金:前売券=大人2,300円」「◆電話による前売り予約(平日10:00~18:00)」にすることにして18日(水)夕に予約(18時ギリギリになってしまったのに嫌な顔ひとつせずに優しく電話応対してくれましたカンフェティチケットセンターの人!)をして19日(木)夕にセブン-イレブンで支払い(コンビニ支払いは当日でも大丈夫だと言われましたが一応念の為前日に!あと手数料で220円かかるので合計2,520円)をして/ 二〇一九年十二月二〇日、「テアトロコント vol.41」の初日(1)(ほとんどが好意をもつ観衆の前で、盛況のうちに行われた)の数日後、自分は、渋谷コントセンターあてに次のように書いた。/ 「面白かった!いつもだと「どんな感じで「批評モニター」として「レビュー」を書こうか」と小難しい顔をしてふむふむなるほどなるほどみたいな重い客(腕組み)モードになってるので「シンプルに笑いたい!」のに心の底からは笑えず考えながら見てるのでそれ+文章を用意する準備をもってしたら当日2,500円が0円ででも「掲載の場合はユーロスペースの映画招待券2枚。」もらえるのでまた貰いすぎてる感もまたありつつ(でも「批評モニター募集!」とあれば是非!「お笑いについて書く」ことは野暮感あるなーという風潮をこそ唾棄!してこれが面白かったのは何でかとかについて書くことが何かに活きないわけない!し活用が全てじゃないので何だって良いんです「コントとは?」にはまだまだ人口がバリエーションが不可欠と思うのでマジでみなさんお笑いが好きな気持ちの持ち出しで書ける!はずです)でも基本そもそも今回思ったんですが当日2,500円安くないですか?(安い!)4組も見れて(しかもアフタートークあり回)出演者も豪華で(豪華かは感じ方ですが面白い人が多いだろう可能性が高いだろうことを「豪華」と(内容は他の批評モニターの方のを見ていただき自分も読みます!))「19:30開演(21時45分終了予定)」なので2時間15分(途中休憩5分あっても2時間超は固い大体オンタイムで終わった)もあります「お笑いライブ」の料金平均は詳しくないのでわからないですが演劇のだと当日2,500円はナイスな料金設定そうだし更に「料 金:当日券=学生1,900円/高校生・演劇・お笑い研1,200円/会員2,200円」ならもっとでさらに極め付けはカンフェティチケットセンター経由の場合だけかもですがチケットにさらっと小っちゃく「※このチケット購入で途上国の子どもたちにワクチン1人分が寄付されました。」ってあって今回純粋に内容(みんなと同じでお金払ったので気兼ねなく楽しめた気がして)楽しんでるだけの知らない間に寄付まで行われてるとはと!。/ 「「対象は自由です。」と「コントセンター批評レポート」の要件に書いてあるそれを信じてここまで書いてきましたが九龍ジョーさんの出されている『Didion』03「特集:演劇は面白い」に掲載されている檄文!中p132-p133「重要なことは、お笑いライブに来る観客はコントを観にわざわざ対価を払ってまで劇場に足を運んでいるということだ。」(レポート「コントと劇場について」小西朝子)その文化はめちゃくちゃ大事だしそれがあったので今回「批評モニター」ですがお金を払いましたがもし「批評モニター」の「特典:執筆対象の公演の招待券」を今後自分普通に使ってくにしてもせめて見合うようなというか「面白いことをした人たち全員」に対しての向き合い方として恥じないレベル?レベルというよりもガッツで「コント」にコントを書く以外で対峙したい今回はそれがこれでした」
訳注(1)「うるとらブギーズ」「ダダルズ」「THE ROB CARLTON」「日本エレキテル連合」の「◆4ユニット交代で30分ずつ上演」された。(小高大幸)

強烈キャラの裏に潜む優しさ
人は癒しを求める生き物であります。ある者は猫に、犬に。ある者は女性に、男性に。そして、ある者は酒に、笑いに。
日本エレキテル連合の憑依型強烈キャラ芸人、橋本小雪さん扮する、ハゲ散らかした、うだつの上がらない中高年。傍らには、日本エレキテル連合の頭脳、中野聡子さん演じる、ロリータファッションに身を包む女性がやる気なさげに接客業に従事している。ハゲ散らかした男性が話しかける。「俺って、かわいそう?」「うん、かわいそう」。独特の腐女子口調で女性が応じると悶絶する男性。観客は気づきます。「ハハ~ン、ここは、そういう類の店なのか」と。「人を見かけで判断してはいけない。大切なのは外見だ」というチャーリーカンパニー・日高てん先生の名台詞がありますが、このハゲ散らかした男性はいかにも仕事ができなさそうで、上司から連日こっぴどく叱られている姿が想像できます。同僚性からも全く相手にされていないのでしょう。家に帰れば、裸電球の灯る四畳半でインスタントラーメンを啜っている姿が目に浮かびます。その妄想が強ち間違っていないと確信したのは「仕事帰り、スーパーで値引きになる刺身を買っているところを想像してかわいそう」と言われると「やってるやってる」と嬉々として応える男性の姿を目の当たりにした瞬間です。と同時にこんな思いも湧き上がってきました。この人は「かわいそう」を生き甲斐にしている。彼のアイデンティティそのものなのだ。否、それを受け入れるしか術がない人生なのだと。事実、お気に入りのかわいいアイテムを差し出し、「それはかわいそうじゃないー」と否定されると、うなだれるように肩を落とす。もしかしたら、かつては「かわいい」と言われることに喜びを感じた時代もあったのかもしれません。でも、それは幻に。今、彼が生きているのは「派遣切られてかわいそう」と言われることにエクスタシーを感じる世界。世間から爪弾きにされる物悲しさ、そして、同情されることにしか生を実感できない生きづらさをコントの主軸に据えたのは、重度の人見知りが故、社会との壁を肌で感じた中野さんならではの視点と言えるかもしれません。そして、彼女の闇を表出したキモキャラを迷いなく全力で演じる橋本さん。なりきることでしか表現できない彼女にもまた、フリートークが重視されがちな芸能界での生きづらさを感じずにはいられません。でも、嘆きは無用です。二人には舞台という居場所があるから。彼女たちのコントに腹を抱え、生の喜びを嚙み締めたいと足を運ぶ観客がいるから。政治の網からこぼれ落ちる社会的弱者たち。彼らの承認欲求を満たしてくれる二人のコントは、まさに時代が求める、癒しの笑いと言えるでしょう。(市川幸宏)

幸せとは何か。
《1》【ザ・マミィ】<コント師>2人組/演目:『裕福な親子』他、計4作品/★★★★☆/
 息子「シューーーーんッ!(オモチャ飛行機を飛ばして遊ぶ音)」父親「おーい、たかしー!今日宿題出たのか?」息子「出たよ。九九(くく)のやつ」父「じゃあ渡しなさい」息子「えっ、宿題今日もやらなくていいの?」父「ああ。家庭教師にやらせればいい。お前はやりたいことだけをやってればいいんだ。」息子「やったぁ!」父親「それから今日の夜ご飯、銀座の寿司の大将を家に招いた。お前は好きなものだけを食べてたらいいんだ。」息子「やったぁ!」父「はい、今日のオモチャ。」息子「やったぁ!シュんーッ!シュんーッ!(オモチャ飛行機で遊ぶ音)」。毎日、父から過剰に与えられている小学生の息子は、裕福に生まれたことに感謝しながら、将来、自分はダメな大人になると確信し、何一つ成し遂げていない将来への不安を振り払うかのように、オモチャの飛行機を振り回す。宇宙飛行士、パン屋、仮面ライダーを将来の夢に掲げても、父に知られた途端に叶えられしまい、限界を越えた息子が父に詰め寄る『裕福な親子』他、計4作品。この『裕福な親子』には笑いだけではない、”幸せとは何か”という大事な問いが含まれている。欲しいものが手に入らなくて辛い思いをした経験は誰にでもあるし、だからこそ、それが金と権力であまりに簡単に手に入る”おぼっちゃまくん”的な破壊力の連続に思わず笑ってしまうし、マジメに心配もする。人が何かを手に入れようとする時には、結果と同じくらい、目標に向かう時の”燃焼感”が大事で、こつこつ歩いた山登りだからこそ頂上に登った時の達成感や、届かなかった時の悔しさを忘れずに、次のハードルに向かって生きていける。この裕福な父は、”ギヴァー(与える者)”なフリをして、実際には大事な経験を奪う”テイカー(奪う者)”であり、生きている現実感さえも奪っている。息子「ボクはいろんなものを持っているのに、なぜかボクの世界には色が無いんだ」という台詞にそれが凝縮されている。村上龍の小説『希望の国のエクソダス』で小学生が言う『この国には何でもある。だが、希望だけがない』という名台詞と似ている。ザ・マミィのコントは、社会性を愛嬌とユーモアで包み、笑った後に思わずマジメに考えてしまうような瞬間もあり、初見だが妙に惹きつけられた。幕間曲のtoconomaもセンスよく、似合っていた。
《2》【ダダルズ】<演劇人>出演者:2人/演目:『となりのやる気』1作品/★☆☆☆☆/
 公園で”縦笛おじさん”デビューした男と、そこに遭遇した女との会話劇。冗長に感じた。振り回される女の感情変移が掴みきれないのも一因か。
《3》【THE ROB CARLTON】<演劇人>出演者:3人/演目:『男と女と、そして男と』他2作品/★★★☆☆/
 老舗笑いトリオが漫才中にミュージカルになる歌声の完成度が高く、ワクワクした。もっと見たかったので、次回はミュージカル形式30分1作品だったら嬉しい。
《4》【ラブレターズ】<コント師>2人組/演目:『机上旅行部』他、計3作品/★★★★☆/
 全3作品とも異常にハイクオリティ。特にトイレの水音装置”乙姫”がラジオ番組になる『トイレの中からこんにちは』は、発想、内容ともに優秀すぎて、現実でもあって欲しい。
【総評】2019年のM-1を見た翌日にこれを書いていて、まだ余韻が残っているが、テアトロコントもお笑い第7世代の風がびゅんびゅん吹き荒れ演劇に刺激を与え、演劇側も何かしらフィードバックするだろう。今年も多くの学びを頂き感謝。オリンピックイヤーのテアトロコントも楽しみにしています。(モリタユウイチ)

コメディの深淵をめぐる冒険
うるとらブギーズ『遊園地』娘と母を待つ父。そこに清掃員の突然のフラッシュモブ。正体は娘の交際3年になる彼氏しかも何の勝算があったのか初対面での暴挙。お父さんへ挨拶をしようとするが「お前にお父さんと呼ばれる事に怒る前の段階の怒り」で拒否されるがダンスの曲をお母さんが選曲していた事が判明し風向きが変わっていき…。『面接』就職面接で趣味がラップだという応募者。分からないから見せて欲しいという面接官。案の定ジャンジャンDisっていき面接官は激怒。それにアンサーし続ける応募者。面接強制終了。「次の人どうぞ」「どうぞどうぞで再び登場!」同じ奴!『取り調べ』「ゲーしたか」ベテラン刑事「まだ吐かないす」と若手刑事。ごっつんこ、ブーブー、ワンワン、おっき等取り調べがベイビーなベテラン刑事。追い詰める程につられる若手「かちゅどんきたよー。」この手法で日々犯人を落とす2人であった。『Mr.ナゾー』人質の男。そこにナゾーと名乗る声。ノイズが乗って聴こえづらい。マイク調整で出てきちゃうナゾー。映像問題も画が出ないナゾー。結果5問不正解で天井が落ちてくる筈がナゾーの部屋の天井が落ちる。機材トラブルに対応出来ないナゾー氏でした。『抗争』ロシアンルーレットをする男達。片方の男は声もれちゃう。怖すぎてオネエ出ちゃう。2ターン目恐怖が増して「ヤダ怖い!棚卸しー月末の棚卸しー!」と2丁目のママ感出ちゃう。相手がトリガー引いててもオネエ出ちゃう。拳銃持ってなくてもオネエ出ちゃう。ロシアンルーレット負けてもオネエ出ちゃう。うるとらブギーズに対する自分の期待値が上がってきてるんだなと実感してきています。
ダダルズ『となりのやる気』公園でたて笛を吹くおじさん。そこに1人の女性。人が来たら来たで緊張で乱れる笛の音。「見るな!」と突然言うおじさん。びっくりする女性。エーデルワイスみたいな曲を吹くが上手くいかず吹くのを止めるおじさん。実は公園で吹くのは今日が初日だった。意を決して公園に来た事を女性に伝え様とするが当然全てを伝える事は困難だ。更におじさんは自分の思い(劇中では心と表現される)を押し付けてくるが伝わらないなと諦めて話を打ち切ろうとするがその態度に女性は激昂「私の意見は?こんなんで言える訳ないでしょ!」上手くいかない2人。テーマは人との接し方・伝え方の難解さであると思うが、その難解さが演者と観客の関係にも影響してしまった様に感じた。こちらもイライラしたのだから演出的には成功なのかも知れないが、ただその様子を見せられるのと伝わるという事は全く別の事で難しい事だなと改めて感じた。
THE ROB CARLTON前口上から始まり『男と女と、そして男と』アカデミー賞受賞作品の名台詞75個のみでコラージュされ男・女・バーテンで展開される。唯一無二の作品性を感じさせるTRCらしい演目。映像作品『DO YOU LOVE MUSIC?』はちょっとシャレオツ過ぎましたかね。ミュージカル『レ・カルテットトリオ』芸歴40年のトリオ漫才師。ネタ途中でスベるとミュージカルで自分と向き合い漫才に戻るとまたスベりミュージカルにを繰り返す。その過程で3人は自らのスタイルに目覚めていく。締めのお囃子が心地良く響きます。
日本エレキテル連合『大根とピラニア』作家見習いの男子が現場に見学にやってくる。そこに現れたのは語尾に「ちゃうんちゃう。」でおなじみの女芸人ビッチ姉さん。男子は姉さんの単独『閉経前夜の股割りパラダイス』を観て以来のファンだと言う。最初は煙たがっていた姉さんだったがドンドン懐に入り込んでくる男子を許容していく。しかし男子の腹の中は…。VTR『うさまるちょぴー』廃墟でヤンキーに遭遇しカツアゲ中継されるyoutuberの受難。小競り合いの末に後ろを振り向くとヤンキーの姿がない!あまりの恐怖で走り出し最終的にゲロ吐いちゃいます。『neoかわいそう』風俗店と思しき状況で〝かわいそう〟を欲しがるかわいそうな髪型のおじさん。東中野でかわいそう、弟が優秀で兄の立場が無くてかわいそう、親から死んだことにされてかわいそう、実家燃えちゃってかわいそう、来年のこと考えたらかわいそう。かわいそうも絶頂も止まらない!このネタの橋本さんの演技は素晴らしかったです。
2019年もテアトロコントでいろいろなタイプの演劇・コントを観る事が出来ました。コメディの持つ爆発力や難解な部分、双方を目撃し思考しながら進む機会を得られ幸せな時間を過ごしました。2020年もこの底の見えないコメディの深淵をめぐる冒険を続けていきたいなと思っております。(イトモロ)

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