渋谷コントセンター

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2015年11月22日(日)

テアトロコント vol.3 渋谷コントセンター月例公演(2015.11)

主催公演

公演詳細

テアトロコントの基本形
今回で3回目の公演となる『テアトロコントvol.3』。初回から鑑賞してきたが、このvol.3がこれまでの中で一番バランスが良かったと思う。前々回は劇団ナカゴー、前回は東葛スポーツが場を荒しに荒らし(個人的な話だがここで観たナカゴーが今年一番、顎が外れるくらい笑い、もう更新される事は無いだろう)、それによって他の組の印象がどうも食われてしまった。それが今回はコント(ダブルブッキング)、演劇寄りのコント(ママスパパス)、コント寄りの演劇(トリコロールケーキ)、演劇(フロム・ニューヨーク)と結果、コントと演劇のボーダーを探るのにピッタリな4組が出演し、どの組もそれぞれの面白さを持っていたように思える。
 一番手はダブルブッキング。4本のコントと2本の幕間映像の構成。ドグマ無視、コントと演劇のボーダーも関係なく、前身の『渋谷コントセンター』そのままの構成と言える。だが私にはそれが良かった。コントと演劇のボーダーを計る上で、一番手はボケとツッコミの役割が決まってて、お客さんにも分かりやすいコントを見せてくれた方が、後の演劇の空気感、演劇コントの空気感が伝わりやすいと思う。コントと演劇のボーダーがメインと公演なので、一番手のちゃんとしたコントはどうしても後へのフリ的役割になってしまうが(前々回の巨匠もそうであった。巨匠が30分のプチ単独を経てのナカゴーの爆発はあったと思う)、公演的に見たらそのような出演順が見やすいと感じた。そんなダブルブッキングは、とても台本が良く出来ていて、それを二人がかなり軽快なテンポで重ねていく。「毒」の部分で語られるコンビだが、それは長く場数を踏んでこられた二人の演技、間、台本があってこそだと感じた。
 二番手はトリコロールケーキ。15分の演劇が2本の構成。2本目の『ハル』は前々回公演でも観た話だったので少し残念であったが、それを超えるぐらい1本目の『雪国』が面白かった。ただただ1つのシステムがずっと貫かれているように思えるが、実はちょっとずつ貫かれていない所もあって、その粗が面白かった。言うなれば雑なバカリズムと言った所か。
 三番手はフロム・ニューヨーク。30分演劇が1本。恐怖と面白の表裏の空気感が30分ずっと貫いた印象。登場人物3人とも狂気じみており、自身の妹が上手側の男に殺されたとしてもシステムの中でしか感情を持っていけない事の、観客側が思う不条理と、舞台上では続く日常のズレが生む恐怖と狂気と面白が混在した雰囲気。ダークなバナナマンではちょっとポップ過ぎるかもしれない。
 四番手はママスパパス。コントが2本。内1本が2部に分かれている構成。個人的に2部構成コント2本目での『身毒丸』は四柳さんが学生芸人の頃から演じていた完コピ芸で、その頃を思い出して、笑いながら懐かしく思い、また笑っていた。2本目の『ご家庭』の雰囲気は好きだったが、途中からボケようとする空気感が出てきた時は少し苦手だったかもしれない。フロム・ニューヨークの不条理劇が秀逸であった事もあり、その不条理的なボケの持って行き方が自然に思えなかった。どこか無理矢理にその展開にしようといった感じに思えてしまった。(倉岡慎吾)

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